アシアナ航空は韓国の航空会社
アシアナ航空というのは韓国の航空会社です。
韓国の航空会社というとまずは大韓航空を思い浮かべる人が多いかもしれません。
確かにその国で最も中心となるような、フラッグキャリアと呼ばれる航空会社は韓国の場合は大韓航空でしょうが、それに次ぐ規模を持っている大手の航空会社です。
韓国は国土がさほど広くはありませんがそれでももちろん国内線の路線もありますし、かなり広域にわたっての国際線路線も有しています。
当然ながら日本路線も多く持っています。
東京成田、東京羽田、関西、中部の各空港はもちろんですが、その他にも札幌新千歳、仙台、福岡、沖縄といった地方の中核となるような空港との間にも路線を有しています。
実は、かつてはさらに地方空港と呼ばれるような空港、例えば富山、静岡、広島、松山、熊本などといった空港との間にも路線がありました。
これらの路線は別に廃止されたわけではありませんが、エアソウルによる運航に移されてしまったため、現在ではアシアナ航空の路線ではなくなっています。
ただそれでも十分に広いネットワークを持っていると言えるでしょう。
どうしてこれだけの日本路線を持っているのか不思議に思われるかもしれません。
いくら日本人が海外旅行に行く人が増えたからといって、地方からこれだけの需要が韓国に対してあるとも思えません。
逆に、韓国からこれだけの観光客が日本の地方都市に対してやってきているとも思えないでしょう。
乗り換え需要を取り込みたいという戦略
実は、エアソウルも含めたこれらの路線に関しては、大きな戦略があるのです。
それは、単純に日本と韓国の間だけの需要に応えようとしているわけではありません。
これらの路線の韓国側の空港は、主としてソウルの仁川空港です。
そして、仁川空港からは例えば東南アジア、アメリカ、ヨーロッパに向けての国際線路線がつながっているのです。
つまりは乗り換え需要です。
日本人に対して、日本からそれらの目的地に直行便で行くのではなく仁川空港で乗り換えて行ってもらう、あるいは逆に海外の人が日本を訪れる場合に、直接日本に向かうのではなく韓国の仁川空港を経由して日本に向かってもらう需要を取り込みたいという戦略が隠れているのです。
ちょっと考えると、こんな戦略など果たして成功するのかと思ってしまうかもしれません。
どんな乗り物であっても、乗り換えをするよりは直行のほうがいろいろな意味でありがたいことが多いはずだからです。
ですが、飛行機に関しては必ずしもそれが当てはまらないことも多く存在しています。
運賃が安く利便性が高いアシアナ航空
一つは単純に、運賃です。
やはり日本や欧米はそれなりに物価が高く、そのためその国の航空会社の運賃は国際的に見ると高くなる傾向にあります。
一方で韓国は確かに十分に先進国の一つでしょうが、日米欧に比べると幾分物価は低めであり、その分だけ飛行機の運賃も安くなる傾向にあるのです。
これはたとえ乗り換えがあったとしてもなお安いことが多いのが実情です。
さらに、これは日本特有の事情もあるかもしれませんが、利便性についても決して直行便に劣らない事情があったりします。
国際的にみて日本の空の玄関を一つ挙げるとすれば東京成田ということになるでしょうが、実際に成田空港を利用したことのある人なら分かるように、この空港は国際線の路線網は確かに充実しているかもしれませんが、日本の国内線の路線網は決して充実しているとは言えません。
様々な事情から成田空港のフライトは国際線中心であり、国内線の路線網を充実させるだけの余裕がないのが実態です。
となると、日本の地方都市から海外に向かいたい人には困ったことが生じます。
つまり、成田で乗り継ぎをしようとしてもそもそも適当なフライトが無いということも多いのです。
国内線の路線網が充実しているのは成田ではなく東京羽田であり、地方都市に住む人にとってはまず東京羽田に向かい、そこから地上移動して成田に行かなければならないことが多くなります。
これは到底利便性が高いとは呼べません。
ここに目を付けたのがアシアナ航空です。
わざわざ空港間の移動が必要な東京で乗り継ぎをするよりも、一つの空港内で乗り継ぎのできる韓国ソウルの仁川空港に向かったほうが利便性が高いという、何か目から鱗のような状況が実際にあるからです。
運賃面でも利便性でも競争力があるとなると、これは利用客が増えて当然でしょう。
アシアナ航空はその需要をうまく取り込んでいると言えます。
またアシアナ航空は日本のANAも加盟しているスターアライアンスの一員であり、マイレージサービスをANAと共有することも可能です。
この点、大韓航空に比べると有利な点を持っています。
大韓航空はスカイチームの一員なのですが、日本ではスカイチームに加盟している航空会社がなく、そのためよく飛行機を利用してマイレージサービスを重視している人ほど、日本における利点が薄い大韓航空を敬遠したがる傾向にあるからです。
最終更新日 2025年6月18日 by preserving